2016.7.23研修

社会福祉法人拓くは、「喀痰吸引(かくたんきゅういん)等研修(第3号)」を実施しています。医療的ケアの必要な方々が、その人らしく地域で暮らすための応援団作り。課題はあっても、前向きに取り組んでいきます。

平成27年3月・7月、平成28年2月・7月の計4回、社会福祉法人 拓く・出会いの場ポレポレにて「喀痰吸引(かくたんきゅういん)等研修(第3号)」を実施しました。初めて目にする医療用語や器具に戸惑いながらも、約50人の介護職の皆さんが試験に合格し巣立っておられます。

現在、医療的ケアを必要とする方々が、地域の中でご家族や友だちと共に当たり前に暮らすことが少しずつ可能となりつつあります。学校現場に看護師が配置されたり、喀痰吸引等研修が実施されたりして、医療的ケアができる教員や介護職の皆さんが増えてきたからだと思います。

喀痰吸引等研修の目的は?

喀痰吸引等研修とは、単に医療行為というよりも、痰吸引や胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養などの必要な行為を生活の中で行えるように、体の機能や器具の使い方、実際の手技を学ぶものです。

研修は、「講義」とシミュレーターを用いた演習からなる「基本研修」と、実際に現場にて喀痰吸引等を必要とされている方に対して特定行為を行う「実地研修」の3段階になっています。

当法人が実施している研修は第3号研修で、特定の重度障害者等に喀痰吸引等を実施しようとする介護職員等が対象です。

実際に、利用者の中に医療的ケアの必要な人がいることが前提で、その方に限定して必要な行為を実施するものです。その方以外には実施することができません。終了証書には、「○○さんの痰吸引と胃ろう」といった具体的な医療的ケアの内容が書かれています。

その他の医療的ケアが必要になった場合は、再び追加研修を受けることが必要です。もちろん対象者が代わる時にも追加研修が必要となります。

課題は?

①受講者が思っていた程には集まらない。
・福岡県が受講料無料で、講習会を実施。
・第3号研修は対象者が限られているため、多くの利用者を対象とする老健などの介護職は、第1号、2号研修を受けます。

②介護職は医療現場の器具名称や用語などに馴染みがないために医療行為(生活行為)を行う責任の重さを感じ敬遠しがちです。

③特定の該当者がいないと受講できません。
対象者が退院し、医療的ケアが必要になった時にすぐに利用したいと思っても、タイミングがあわないことがあります。

④事務手続きが煩雑
・県への登録を事業所が行わなくてはいけないため、書類提出の手続きが高いハードルとなります。特に小さな事業所など。
・看護師(第3号研修講師)や医師の確保、安全委員会の設置など、整備することが多い。
・介護職やヘルパーに意欲があっても、登録している事業所が応じない限り難しい。

意義は?

①第3号研修が成立した経緯が、「障害がどんなに重くても自宅で自分らしく暮らしたい」と、ALSの皆さんからの強い要望があったことで、言わばヘルパーさんとALSの皆さんの共同作業から始まりました。家族以外の人がその人の命を支えていく、一緒に生きていく人をつくっていくということ。それが少しずつ実現しています。

②少数ではあるものの、大いなる必要性を感じて受講される人がいます。
第4回目の研修時に、特定の対象者が10代の障害児というケースが出てきました。
また、ある訪問介護士の方は、いつも清拭や入浴補助をされており、自分の知識を増やしもっとその方のために力になりたいと熱意を示されていました。受講中も質問が多く、熱心でした。
この方に限らず、救急搬送についての地域の課題を挙げられ、熱心に講師に質問をしていた受講生もいました。
このように他事業所で働く介護職が一緒に受講することで、様々な場面での介護の様子を知ることとなり、非常によい刺激になっておられます。

③今後、地域での暮らしをサポートする介護職のスキルアップにつながります。
障害や難病をもつ方や高齢者の皆さんは、病院や施設ではなく自宅で暮らす傾向が強まり、喀痰吸引、胃ろう、腸ろうだけではなく、ストーマ(人口肛門)や尿路ストーマ(人工膀胱)の手当も介護職に頼らざるを得なくなるのではと、講師の先生が仰っていました。
今後、介護職やヘルパーの方々の医療行為のスキルアップがますます求められていくのではないでしょうか。

課題は多いですが、この研修は、医療的ケアの必要な方々がその人らしく地域で暮らすための応援団を確保する大切な事業。今後も前向きに諦めず、取り組んでいきたいと思います。

最新の研修報告

  • R6.3.15 くるめ相談ネット 第6回 

  • 強度行動障害支援者養成研修

  • R6.1.12 くるめ相談ネット 第5回